ONEキャスト目から幸運に恵まれるアングラーもいる。100回キャストを続けても幸運に見放されっぱなしのアングラーもいる。ボクの知り合いのアングラーは後者だ。彼は1匹のGT(ジャイアント・トレバリー)を釣り上げて一人前のルアーアングラーになるべく、西表島や久米島、はたまたオーストラリアなどにも遠征した。だが、彼に対して海の女神は非情だった。オーストラリアに至っては、強風が吹き荒れて海に出ることもできなかった。
別に、日頃の行いが悪いとも思えない。釣りのテクニックが極端に下手だという訳でもない。タックルだって一流品揃いだ。なのにGTには嫌われっぱなしなのである。そんな彼を黙って見過ごすのは釣友として忍びない。かくして彼を一人前の男にすべく、フィジーに向かった。
南太平洋に浮かぶ南国の楽園フィジーは大小320の島々から成っている。一番大きな島は首都スバのあるビチ・レブ島。次に大きいのがバヌア・レブ島である。今回はフィジー政府観光局のアドバイスに従って、ビチ・レブ島の東に連なる小島群のひとつマナ・アイランドとバヌア・レブ島のサブサブを目指した。
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翌朝、嵐は一向に収まらず釣りを断念。午後便のセスナでナンディに一旦引き上げ、バヌア・レブ島のサブサブに向かった。双発のプロペラ機で約50分、水溜まりを避けるようにしてサブサブ飛行場に降りたった。出迎えてくれたサブサブ・ホットスプリングス・ホテルのオーナーのトラックに乗り込み、見晴らしの良い丘に建つホテルにチェックインする。オーナーは大の釣り好きで、宿泊客の多くはオーストラリアやニュージーランドからのアングラー。
週末毎に開催されるディスコ・パーティで盛り上がった翌朝、ホテル所有の22フィートのボートで南国特有の強い日差しを浴びつつサブサブ港をあとにした。走ることわずか10分ほどで鳥山発見。近づいてみるとカツオの群れを巨大な黒い弾丸が追い掛けている。
すかさずメタルジグをキャストし、そのままフォーリング。と、次の瞬間にはロッドがバット部分から弧を描き、リールのドラッグが悲鳴を上げる。上がってきたのは10キロ強のキハダマグロ。行きがけの駄賃としては贅沢だが、本命はGT。夕食の刺身分だけを確保して舳先を沖合いに向ける……
協力/フィジー政府観光局・パシフィック航空