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 シングー川はカンブリア紀、つまりは五億年前の地殻変動でできた堅い岩盤を流れ下っているため、一般的なアマゾンのイメージとはかなり違う。両岸に迫っているのは熱帯雨林ならぬ不毛の岩盤。透明度が高く、流れは変化に富んでいる。

 流域にはインディオ居住地が点在し、部外者が無断で釣りをしていると、どこからともなく弓矢が飛んでくることもある。また、ガリンペイロと呼ばれる砂金採りの家族に出会うことも多い。雨期に上流から運ばれて堆積した黄褐色の土から砂金を採るのである。

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 川を遡ること3時間。流心、大岩の陰、流れの脇、滝壺、シャロー……。どこにキャストしても魚が飛び出てくる。

 流れの穏やかな水深1メートル弱のフラットにポッパーをキャストすると、淡水のシーラカンスといった感じの怪力トライロンが猛然と噛みついてくる。

 流れの脇にマドラーをキャストすると水玉模様のツクナレパッカや黄色に黒のツクナレコモンが我先にアタックしてくる。

 瀬の下の速い流れにストリーマーをキャストすると淡水カマスの一種、ビクーダがフライを猛然と引ったくる。アベレージは60センチ弱だが、ジャンプ力は半端じゃない。

 流心を大型ストリーマーで攻めると鋭い牙を持ったアマゾンの暴れん坊カショーハが噛みついてくる。なにせ、飛ぶは走るはフライラインの抵抗などモノともせず縦横無尽に暴れ回る。

 ピラニアも強烈なファイターだ。特にシングー川のピラニアは「ピラヤ」と呼ばれる特大サイズ。ダークグレーの躰に朱色の頬。アベレージは50センチを優に超え、剥き出しになった歯はエポキシで何層にも強化したフライのヘッドをあっさり噛みちぎる……