中央アンデス(ペルー)

Andes


南米アンデス山脈先史文明学術調査の途中

標高4200メートルの凍てつく大地で虹鱒に出会った

それは中央アンデスの氷河が育んだ宝石だった

Andes ranged South America.

Rainbow trouts on the friged earth.

It was jewel brought up by Andes glacier.

当サイトに掲載されている写真・文章等の無断使用は禁止します。

Copyright C 1996 ZAMMA MASAYUKI All rights reserved.

 標高4130メートル、気温3度。赤茶けた草原に脈絡もなく蛇行した一筋の流れが、数千キロの旅を予感させるかのようにきらめいている。アマゾン川の源流の一端を担う水源である。

      *            *

 峠から赤茶けた草原を見おろすと、五人の男たちが蛇行する小さな流れに浸かって右往左往している。男たちはピスコをかなり飲んだらしく、鼻の頭を真っ赤にし、足下も振らついている。水に浸かっていた男は寒さに耐えかねて細かに震えている。呂律の回らない毛糸帽子の男にタバコを差し出し、ピスコを一口貰ってしばし見学することにした。草原だと思っていた足下は、じっと立っていると水が染み上がってくる。氷河湖に自生した植物が数千年の歳月を経て醸した湿原だ。

 高原の空気は身を切るように冷たく、男たちは毛布を頭から被り、ピスコをラッパ飲みしながら魚を追う。男たちの話によると、この川の上流には底なしの湖があり、ペスカ・グランデ(大きな魚)がいるという。尾根を二つ越えた先で、徒歩で3時間、馬で1時間ほど。家畜の通る道があるので迷うことはないという。

    *       *

 カハマルカはインカ以前、すなわち紀元前から1400年にかけて栄えたアンデス高地の文明の要所。周辺にはヤモバンバ遺跡やセロ・コヨール遺跡、ワカマロ遺跡などの貴重な遺跡が点在し、セロ・コヨール遺跡の裾野にはサン・ニコラス湖があり、近くのナモーラ川ではトラウトの養殖が行われ……