タイマス(アマゾン)

Thaimasu



ブラジル奥地マットグロッソ州のタイマス。

そこはアングラーのパライソ(天国)そのもの。

巨大ナマズ、ツクナレ、カショーハ……そして、幻のツクナレフォーゴ(炎のピーコックバス)の聖地だ

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 「ここまでは誰も来ないだろ。よっしゃ、釣りまくるぞ~」なんて思っていると、突然、ジャングルの奥から歯の抜けた古老が現れ、「昔は大っきいのがなんぼでも釣れたもんじゃ。じゃが、今はもう釣れんよ」なんて言われ、がっかりすることがある。

 世界の秘境アマゾンだって例外じゃない。熱帯雨林の喪失と比例して貴重な魚たちが次々と姿を消している。

 ブラジル中央部のマト・グロッソ州を流れるアマゾン川の数ある支流の中のそのまた支流クルルアスー川。そこは世界中の珍魚怪魚好きな釣りびとたちが、「死ぬ前に一度だけ……」と願うパライソ(天国)だ。

 大きな牙のあるカショーハ、100キロを優に超すナマズの一種ジャウー。そしてなにより「河の孔雀」と形容されるツクナレ(ピーコックバス)の中で、最も珍しい「フォーゴ(炎)」が生息しているからだ。

 最初にツクナレを釣り上げたのは十年ほど前。当時はロッジの前で、カエルや小魚を模倣した疑似針を投げれば、なんの迷いもなく飛びついてきた。ところが三年後にはロッジから丸一日、一昨年などはボートでジャングルの水路を丸二日間分け入り、やっと一尾しか釣れなかった。

 フォーゴと呼ばれるだけあって、腹がオレンジ色に輝き、そのファイトは燃え上がる炎さながら。ときにはジャンプした勢いでボートを飛び越すほど。だが、その肉はプリプリとしてすこぶる美味しく、市場では大人気。おまけに、その美しさと希少性ゆえに熱帯魚ハンターにも狙われ、あげく、悲しいことにフォーゴはジャングルの奥へ奥へと追われてしまう……。