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 釣りびとの自慢話ってのは、釣りに興味の有る無しに関わらず大迷惑。

「聞いてよ! こないだ、川の主を釣っちゃってさ~ 50センチもあったぜ……クドクド……」。

 さらにアルコールなんぞ入ると、「ウィ、あれは世界記録だったぜ! なに、信じられねってのか!」なんて具合に、相手が大アクビしようが居眠りしようが……もう止まらない。

 おまけに、話すたびに40、50、60センチと大きくなるから始末が悪い。「つり人の嘘に罪はない」なんて言うけれど、たまには純真無垢な人もいるので、ほどほどにしたいもの。

 かく言うボクにも恥ずかしながら、「世界記録」や「日本記録」といった自慢話がいくつかある。そのひとつがアマゾンに生息するピラルクーを自作のフライ(毛針)で釣り上げたこと。未公認ながら世界で2番目、日本人では初の快挙。

 ピラルクーはウロコのある淡水魚としては世界最大。頭は中世の甲冑のように固く、ウロコは美女の爪磨き。なにせ、進化の歴史から取り残されたような姿形で、未確認ながら体長4メートル、体重400キロなんて記録もある。

 その異様な姿を図鑑で見て一目惚れ。「一度でいいから釣ってみたい」と、恋い焦がれること四半世紀。アマゾン河口のベレンからセスナ、四WD、ボートと三日間乗り継いでジャングルに分け入り、5メートルを超す巨大アナコンダ(水蛇)やワニがうろつく岸辺で待つこと二日。ついに、アマゾンのモンスターが姿を……。おっと、また釣りびとの悪い癖が出てしまった。

 ま、ボクの記録は人の行かない場所で、たまたま釣れてしまった棚ボタがほとんどだけど、世界にはまだまだ釣られたことのない魚がワンサカ。冒険心と根性さえあれば、「日本人初」や「世界で一番」も夢じゃない。